治験とは

私たちは、病気になったりケガしたりすると、「クスリ」を飲んだり塗ったりします。
「クスリ」による病気の治療や予防は、20世紀後半から目覚ましい発展を遂げ、 それまで治らなかった病気が治るようになり、手術をしなくても済むようになりました。
しかし、すべての病気が圧されたわけではなく、現在も、健康や生命を脅かす様々な病気があり、より効果があり安全性の高い「クスリ」を待ち望む患者さんがたくさんおります。
「クスリ」が患者さんに使えるようになるまでには、研究所、大学や製薬会社で開発 された「クスリの候補」が多くの試験をパスしなければなりません。この試験の中に患者さんご自身にご協力いただき、実際に病気に効果があり、かつ安全であることを確認する過程があります。
このような、患者さんにご協力をいただいて行う試験のことを「臨床試験」といい、 その中でも、国(厚生労働省)から「新薬」として認めてもらうために必要な臨床試験を「治験(ちけん)」といいます。

 新しいクスリができるまで<治験>

1.「薬のたまご」の発見から「非臨床試験」まで
研究所、大学や製薬会社で開発された「クスリの候補」は、まず非臨床試験という動物試験を行い、効果や安全性などを詳しく調べます。

2.「臨床試験(治験)」へ
次に、「クスリの候補」が人でどのような効果や作用があるかを調べる「臨床試験(治験)」を行います。動物試験にて有効性と安全性が確認されたものだけが、「治験」として人に 投与されます。
「治験」は、国(厚生労働省)から「クスリの候補」が「医薬品」として認められる ために「第Ⅰ相」・「第Ⅱ相」・「第Ⅲ相」試験と呼ばれる3つのステップで段階的に進められます。


● 第Ⅰ相試験〈フェーズⅠ:臨床薬理試験〉・・・健康な人で
少人数の健康成人の志願者を対象に、ごく少量から「クスリの候補」を少しずつ、投与量を増やしながら安全かどうかを確かめます。はじめて人に投与される試験であり、通常は医療体制の整った専門の医療機関で進められるものであり、当院では第Ⅰ相試験は実施しておりません。

● 第Ⅱ相試験〈フェーズⅡ:探索的試験〉・・・少数の患者さんで
次に、「クスリの候補」が効果を示すと予想される比較的少人数の患者さんについて、 病気の程度によってどのような効果を発揮するか(有効性)、副作用はどの程度か(安全性)、また、どのような使い方(投与量・間隔・期間など)をしたらよいか、といったことを 調べます。

● 第Ⅲ相試験〈フェーズⅢ:検証的試験〉・・・多数の患者さんで
最後に、多くの患者さんを対象として、現在使われている標準的な医薬品(対照薬)と比較したり、有効成分が入ってないプラセボ(偽薬)と効果の比較をしたりして、クスリとしての有効性と安全性、使用方法を最終的に確認します。
その際、比較試験が偏りなく公平に行われるように、治験に参加される患者さんをクジを引くような方法で決めたり〈無作為化割付け〉、その上で、治験を行う医師や患者さんのいずれにも、どのクスリ(処置)が割付けられたか分からないようにする方法〈二重盲検法〉で行われます。

● 承認申請へ
治験で得た情報をもとにして、治験薬が世の中で広く使えるように、厚生労働省への 承認申請されます。厚生労働省の審査をクリアし、医薬品として承認されたものが「新薬」として使われることになります。

● 第Ⅳ相試験〈フェーズⅣ:市販後調査〉
「新薬」が市販された後も、厚生労働省の指示や、製薬会社の意思により様々な試験が行われます。これを総称して「第Ⅳ相試験」といいます。
これは治験ではありません。承認された薬でも、思わぬ副作用が出たり、何年か経ってから「効果がない」と判定されれば、医薬品から外れてしまうこともあります。

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 当院で実施した治験による承認実績

当院が参加した治験を通じて、「新薬」として承認されたり、新しく適応症が追加されたものは、次のようになります。

実施期間

診療科

適応疾患

20112012

循環器内科

急性冠症候群

20112012

一般外科

固形癌

生物学的同等性試験

20122013

消化器内科  整形外科

胃潰瘍再発予防

20122013

麻酔科

帯状疱疹後神経痛

2012年~

循環器内科

高コレステロール血症

20122015

腎臓内科

高リン血症合併慢性腎不全

20132014

一般外科

生物学的同等性試験

20142015

一般外科

生物学的同等性試験



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 治験に参加するには

院内で行っている治験の条件に合いそうな患者さんには、主治医からお声かけすることがあります。また、外来の診療科にポスターを掲示していることもありますので、内容をお読みいただき、話を聞いてみたいと思った場合は、ポスターに書かれている相談窓口にお声かけください。
治験を担当する医師から患者さんに同意説明文書をお渡しし、治験の目的や内容を簡単にご説明いたします。その後、詳しい内容について、治験コーディネーターから更に詳しくご説明いたします。
治験に参加するかしないかは、患者さんご自身の意思でお決めいただいて結構です。 話を聞いたからといって参加を強制するようなことはありませんし、その時すぐに参加するかどうかを決めていただかなくても結構です。一度、同意説明文書をお持ち帰りいただいて、ご家族や信頼されている方と相談してから決めていただくことも良いと思います。
説明の内容を十分にご理解いただいた上で、治験の参加に同意いただける場合は、同意書にご署名いただきます。この時点から治験が開始となります。
同意書に署名した後、もしくは治験薬の投与が始まってからでも、患者さんの自由意思で参加を取りやめることができます。その場合でも、今後の患者さんの治療に不利益になるようなことは一切ございません。
治験の結果は、医薬品としての承認を得るために利用されますが、患者さんのプライバシーは厳重に守られますのでご安心ください。


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 治験に参加するメリット

●治験に参加することは、新薬誕生のための創薬・育薬ボランティアとしての社会貢献になり、次世代の人々の健康に貢献できます。

●治験に参加することで、最新の薬や最先端の治療法を使用できる機会を得ることになります。特に、有効な治療薬がない疾患や海外ではすでに発売されていて評判の良い薬であっても、日本では承認されていない薬などの場合は、治験に参加する意義が大きいことになります。

●治験薬は治験を依頼している製薬会社(治験依頼者)からの提供となりますので、費用はかかりません。

●治験に参加されている期間中は、血液検査・尿検査や画像検査等の費用も製薬会社の負担となり、治療費の負担が軽減される場合があります。

●専任の治験コーディネーターが個別に対応することにより安心して受診していただけます。

●治験に参加することにより、来院回数が増え、診療時間が長くなることがあるため、 交通費や通院に際してかかる費用の負担を軽減していただく目的で、治験のための来院毎に負担軽減費をお支払いしています。


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 治験に参加するときの注意点

●治験参加中は、治験薬の投与との因果関係のあるなしに関わらず、あらゆる好ましくないあるいは意図しない症状または病気については「有害事象」として治験審査委員会に報告されます。

●治験によっては、色や形は治験薬とまったく同じですが、効果を示す成分(有効成分)を含まないプラセボ(偽薬)を服用していただく場合があります。これは、治験の効果を正しく評価する目的で行われます。


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 治験実施のルール

治験の実施にあたっては患者さんのご協力が不可欠であり、その誠意にお応えするためにも、治験にご参加くださる患者さんの人権や安全が最大限に守られなくてはなりません。
また、「クスリの候補」が新薬として承認されれば治療に使われるわけですから、治験は科学的に適正に実施されなくてはなりません。
そのため、治験は国(厚生労働省)が定めた基準である「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(Good Clinical Practice:GCP)に従って行われます。
治験の計画・内容について、患者さんの人権が守られ、かつ、安全性に問題がないかどうかを病院内外に設置された「治験審査委員会」で審査します。
患者さんに治験に参加していただくには、文書にて治験の内容を詳しく説明し、患者さんの理解と同意を得ることが義務づけられています。
また、医薬品医療機器法(「薬事法」から改称)において、治験依頼者(製薬企業等) 及び医師又は歯科医師(自ら治験を実施する者)は、厚生労働大臣への治験計画の届出、及び、治験中に入手した副作用、不具合等の情報の報告が義務づけられています。「独立 行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)」では、治験計画の届出及び治験中の副作用、不具合等報告の受付を行っており、受付状況等を厚生労働省に報告しています。
PMDAが実施する信頼性保証業務においては、医薬品の承認申請後の審査段階で、治験を実施した医療機関の適合性書面調査〈GCP実地調査〉が行われますが、当院では2015年9月に腎臓内科で実施した治験を対象に適合性が認められました。


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 治験審査委員会とは

治験の依頼を受けた病院は、治験の計画・内容が治験に参加される患者さんの人権や 安全の保護および科学性等において問題がないかどうかを審査する独立の委員会「治験 審査委員会」(Institutional Review Board:IRB)の承認と病院長の了承を得てからでなければ治験を開始できません。
当院では、定期的に治験審査委員会を実施し、新規の治験依頼の受け入れや、実施中の治験の継続について審議しています。また、最近では、症例集積性と効率性の向上を目的として、病院グループや地域の治験ネットワークや特定非営利活動法人などが運営する 中央治験審査委員会(Central IRB)に審査を依頼することがあります。
治験審査委員会の委員は、院長以外の医師、薬剤師、看護師などの医学・薬学等の専門家でもある医療従事者の他に、医療を専門としない事務職員など、病院とは利害関係の ない病院外の委嘱委員(法律家・学校関係者など)が含まれており、患者さんの倫理面において公正に審議できる体制であることが、GCPで定められており、治験審査委員会は、治験の受け入れを拒否したり、継続中の治験をやめたりする権限を持っています。
わが国の治験については、「治験のスピード(新薬が承認されるまでに要する時間)に関しては全体として欧米と遜色ないレベルにあり、治験実施計画書を守るという視点 (安全性)での「質」に関しても大きな問題は見られませんが、症例集積性(治験に必要な数の症例を集める)に関しては、諸外国と比べると低い」と評価されており、韓国や シンガポールなどの「アジア諸国の治験専門のメガホスピタルと同等の症例集積が可能となる〈治験ネットワーク〉体制を構築する必要がある」ことが示されています。

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 実施中の治験

連携医療機関への治験紹介
依頼ポスター
変形性膝関節症に対する注射薬の治験


治験への参加をご希望の患者さんには、ご参加いただけるかどうかを含めてのご相談に対応いたしますので、下記にお問い合わせください。

【問い合わせ先】
 水戸済生会総合病院 治験管理室
 〒311-4198 茨城県水戸市双葉台3-3-10
 電話:029-254-9316(治験管理室直通)
    029-254-5151(病院代表)

 現在実施中の治験一覧(2017年8月1日現在)