私たちは、病気になったりケガをしたりすると、「クスリ」を飲んだり塗ったりします。
「クスリ」による病気の治療や予防は、20世紀後半から目覚ましい発展を遂げ、それまで治らなかった病気が治るようになったり、手術をしなくても済むようになりました。
しかし、全ての病気が制圧されたわけではありません。今も、健康や生命を脅かす様々な病気があり、それらに対して有効な新しい「クスリ」を待ち望んでいる患者さんが数多くおられます。
そのため、新しい「クスリ」を開発する努力が世界中で日夜続けられています。それは、単に効き目の強い「クスリ」を見つけることだけではありません。
「クスリ」は人に好ましくない作用を及ぼすことがあり、そうした作用は「副作用」と呼ばれます。また、「クスリ」は使い方を誤れば、「毒」にもなりかねません。その意味でも、100%安全な「クスリ」はあり得ませんが、副作用の少ない、できるだけ安全な「クスリ」を見つけることも、新しい「クスリ」を開発する重要な目標になっています。

   
 

 
新しい「クスリ」(新薬)の開発は、製薬企業等の研究者や医師が病気の原因について詳しく研究し、「クスリの素」になりそうな物質を、天然に存在している物質から抽出したり、目的とする働きを持ったいくつかの候補物質を選び出すところから始まります。
様々な実験により選別された「クスリの素」は、動物を対象にどんな作用があるかを検討するための試験をします。
ネズミ、ウサギ、イヌ、サルなどを使って、効力(有効性)と毒性(安全性)をくわしく調べ、「クスリ」になりそうだと見込まれるものだけが「クスリの候補」となります。
        
ここで、いよいよ「クスリの候補」が人に使われます。「クスリの候補」が「クスリ」となるためには、どうしても人において効き目(有効性)や副作用(安全性)を調べなければなりません。
人での有効性や安全性について調べることを一般に「臨床試験」といいますが、「クスリの候補」を国(厚生労働省)から「クスリ」として認めてもらうために行う臨床試験のことを、特に「治験(ちけん)」と呼んでいます。
これらの試験結果は、まとめて国(厚生労働省)に提出され、「クスリ」として役立つかどうかの審査を受けます。
このようにたくさんの研究とたくさんの協力(治験)を経て、ようやく「クスリ」として使用することができます。
「クスリ」が販売された後は、更に実際に多くの患者さんに使われた場合の効果や安全性、今までえられなかった副作用などを調べます。